感性を磨き、事業を興す。自分らしく、山猫堂らしく。
2023年5月にオープンした、泊まれる古本屋「山猫堂」。あえてリノベーションせずにこだわり抜いてつくりあげた空間を拠点に、アートやカルチャーの土壌を育む事業をスタッフと共に探求する。
このプロジェクトについて
敷地に入るとまず目に入る、立派だけどどこか懐かしさを感じる築150年の大きな平家。右手には蔵もある。
玄関で靴を脱ぎ、中へ入ると、不思議と手に取りやすく丁寧に並べられたたくさんの古本や雑貨に囲まれて、別世界に来たかのような感覚になる。木や畳の匂いに包まれて、BGMを聴きながら、ソファーに腰掛けて気ままに手に取ってみた本を開く・・・。
そんな空間が広がるのは、2023年5月に岩手県陸前高田市にオープンした「泊まれる古本屋 山猫堂」。
山猫堂主宰の越戸浩貴(こえとひろたか)さんは、陸前高田市のNPO法人で空き家バンク運営や、空き家の家財整理等に携わっている。業務の中でとある1軒の空き家と出会い、家主が家や家財に思い入れをもって接している姿を見て、直感で「この家で自分の店を開きたい」と思った。150年の家の歴史を151年目に自分が消したくないから、あえてリノベーションはしないと決めた。
国内外のアーティストを地域に招き、滞在中の芸術活動を支援する「アーティスト・イン・レジデンス」にも携わっていた越戸さんは、陸前高田市がアートやカルチャーに触れる機会が少ないことにも課題感を感じていた。また、自分自身が映画や物語、古いロックに救われてきた原体験を持つため、古本やレコードには特に思い入れがあった。本は知識や教養を得るだけでなく、感性も磨かれる、いわばアートやカルチャーの入口となりうる。さらに、紙の本の需要が下がっていく中でも、本に囲まれた空間でゆっくり過ごすことが嫌いな人はいないのではないか。そう考えた越戸さんは、こだわりの空間に宿泊機能を備えた「泊まれる古本屋 」を1年近くかけて形にしていった。
全国各地で空き家問題が叫ばれる中、空き家の中に放置された大量の家財について触れられることは多くない。陸前高田市も同様で、地域の空き家からは2tトラック3〜6台分におよぶ家財が出る。椅子やテーブル、レトロな家電や食器類、服や子どものおもちゃ、フィルムが入ったままのカメラなど様々で、それらの多くは状態が悪かったりどうしても扱えないものがほとんどだ。しかし、アートやカルチャーの文脈から光を当てることはできるのではないかと考えた越戸さんは、NPO法人と連携し、活用できそうな家財等を山猫堂で販売することに。眠っていた家財は一つ一つ丁寧に磨かれ、山猫堂を構成する一部となっていった。
こうして山猫堂は、たくさんの古本や、空き家から生まれた家具や装飾に囲まれ、多様なイベントも繰り広げられる、「泊まれる古本屋」としてオープンした。
オープン後はひっきりなしに宿泊客が訪れており、外国人も多い。演劇や朗読会など、主催者の個性が表れた様々なイベントも行われている。地域内のカルチャーを集めた山猫堂に、旅人から新しいカルチャーが持ちこまれ、文化が混ざり合う拠点になっている。
越戸さんは、今後は「畑」にチャレンジしたいと考えている。一見、本屋からはかけ離れているように感じるが、紛争や環境問題など、物流が止まりうるような社会情勢を本屋として伝えるだけでなく、畑を通じて実際に体を動かし自分たちの食を賄うことで、解決に向けたアクションを実践していきたいとのことだ。
「”本屋なのに”ではなく、”本屋だから”いろいろやる」のが越戸さんのスタンス。
あなたはここで何を感じ、どんな感性を磨き、どんな事業を越戸さんやスタッフと共に興していくだろうか。
募集要項
募集対象 |
大学生、高校生、社会人 |
---|---|
期間 | 長期(3ヶ月〜) |
テーマ |
文化・伝統産業,アート・スポーツ |
職種 | 企画・商品開発,新規事業 |
活動 支援金 |
あり |
活動内容 |
地域にアートやカルチャーの土壌を育む事業を探求する |
期待する成果 |
山猫堂として今後取り組む事業を加速、前進させることを期待します。 |
得られる経験 |
・アートやカルチャーに関するビジネスモデルを探求する経験 |
対象と なる人 |
・簡単に答えが出ないような問いであっても思考と行動を止めず、安易な答えに逃げない人 |
活動条件 |
<このプロジェクトは現地活動型です> |
活動場所 |
山猫堂:陸前高田市竹駒町仲の沢60、陸前高田市内、および周辺地域 |
事前課題 | 有り(詳細はエントリー時に説明します) |
私たちはこんなチームです!
団体概要
- 設立
2023年5月
- 代表者名
越戸 浩貴
- 従業員数
2名
- 資本金
-
- 売上高
-
- W E B
https://www.instagram.com/yamanekodo_bbb/
- 住所
岩手県陸前高田市竹駒町仲の沢60
好きなことを、楽しく一生懸命に。
築150年の平家の中には、古本や古物を並べた店舗部分と、個室・ドミトリーの宿泊部屋があり、訪れた人は思い思いに過ごす。スタッフの仕事は古本の買取・引取・販売のほか、イベントの企画・運営や宿泊ゲスト対応など幅広いが、様々な目的をもって訪れてくれる人と山猫堂の空間をつなぐような、「接客」というよりは「コーディネート」に近いイメージ。
山猫堂を始めてから、たくさんのつながりが生まれている。本や宿泊を目的に訪れてくれた人やイベントの参加者だった人が、今度はイベント主催者になったりして、さらにカルチャーが混ざり合っていく。そこには「スタッフとお客さん」の関係には収まりきらない、好きなことを楽しく一生懸命にやっていく「仲間」のような関係がある。
陸前高田市は東日本大震災で甚大が被害のあった被災地の一つ。多くの家や物が流された場所だからこそ、古い家や古い本を文化的価値として残し、考え、表現し、アクションを生み続ける場所にしていきたい。
インターン生へのメッセージ
プロフィール
1985年生まれ岩手県久慈市出身
山猫堂主宰・特定非営利活動法人高田暮舎副理事長
岩手大学大学院在籍時に東日本大震災を経験し、被災地支援の一環で陸前高田に関わる。
2013年に陸前高田に移住し、これまで、民泊、移住定住促進、民族芸能活性化、空き家事業などを展開。映画・60年代-70年代ロックが好き。